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第6回もうひとつの戦争展特別企画

花田紀凱 月刊WiLL編集長 講演会

花田紀凱氏プロフィール
1942年9月13日生まれ。東京都出身。
 文藝春秋発行の週刊誌『週刊文春』を週刊誌
売上トップと育て上げる。
1995年、『マルコポーロ』でガス室虚構説を特集
しナチス戦争犯罪追求団体から猛抗議を受け同
誌は廃刊、花田自身も編集長を解任となった。
 1996年、文藝春秋を退社し編集長として朝日
新聞『Uno!』創刊。その後、角川書店に移り、『メ
ンズウォーカー』編集長。現在は、ワック・マガジ
ンズ且謦役兼、同社発行誌『WiLL』編集長。


 展覧会中日にあたる8月12日午後より、名物編集長花田紀凱氏の講演が行われた。
題は「いわゆる従軍慰安婦決議の真実」。副題として〜アメリカ下院決議は中国の謀略〜ということだが、この件については
月刊WiLLにてまるごと一冊企画が出ているので、詳しくは、そちらを読んでいただきたい。 以下、講演内容の概略。

 この度の下院決議に到るまで米国では、巧妙な手口が行われた。そのひとつとして、慰安婦という言葉を「セックス・スレイ
ヴァリー」つまり「性奴隷」と表現した。奴隷とは、自身に値段をつけ買われ、給料はない。また、奴隷の子は奴隷であり慰安
婦とは、全く別なもの。そして、米国は最も遅くまで奴隷制度があり、一般的に「奴隷」のイメージが分かりやすい。セックス・
スレイヴァリーは実際の慰安婦とかなり違った受け止め方になる。慰安婦の実態をよくわからない連中が、決議したわけだ。
 また、このことを日本の新聞、特に朝日新聞が大喜びして取り上げる。 私は、朝日新聞をいつも熟読して「粗探し」をする
ことが日課だ。余談になるが、自費出版が流行であるが、これがけっこう詐欺紛いなところがある。「新風舎」が提訴される事
件があったが、各誌が社名を出して報道したのに対し朝日は、社名がなかった。朝日は、新風舎から大きく広告掲載があり
公表に消極的なことが伺える。このようなことで抗議の電話をするが、最近は巧妙になってきて「御質問」と「御意見」に分け
て受ける。「これは、どういうことか?」と聞くと「それは、御意見の窓口へまわします」そして御意見窓口では「確かに承りま
した」でそれ以降、回答がない。マスコミは、広告主に弱い体質がある。
 話を戻すが、マイク・ホンダ米下院議員は「世界抗日戦争史実維護連合会」をはじめとする中国系団体から多額の献金を
受けており、それら団体は、中国の反日愛国教育政策と同時期に設立されており、中国共産党政府が背後に存在するとい
われている。ホンダ議員もそれら団体との関係を指摘され認めている。
 ただ、日本の場合、国内に反日が多い。国会議員岡崎トミ子は国会会期中にも関らず、韓国日本大使館前で反日デモに
参加しシュプレヒコールを行っている。従軍慰安婦の問題に関して、安倍総理は「狭義の意味では・・・」という表現をしている
が、これは分かりづらい。 慰安婦となった人は、はじめからそれを望んでいたとは考え難いので、強制性の実態がどうであ
ったかかが重要であり、そのことでは秦郁彦先生の調査で既になかったことで結論が出ているのだが、吉見義明氏などは、
それでもこの問題を取り上げたがる。彼は、日本国内では従軍慰安婦の件について否定材料が多くあることから、外国人記
者クラブでこのことについて会見した。そこで記者から、外国人記者向けに会見は行うのに日本人記者に行わないことを訊
ねられ「日本では信じてもらえない」と答えたところ記者団から「我々をバカにするな」と言われたという。
 彼も研究者なので調べていけば、実際はどうであったかは分かる筈なのだが、このような行動をとる理由に秦さんいわく「
愉快犯では」とのこと。何か言えば、周りは自分を囲んでくれるという心理的な満足感を求めているのでは・・・もっともこれは
推測ではあるが。
 米議会での慰安婦決議に対し日本政府は、どう対応するべきであろうか。例題はトルコにある。1914年にトルコがアルメニ
ア人を虐殺した(厳密には、オスマントルコの時代とその後のトルコ共和国になってからのものと区別される)とされる事件で
米議会が、非難決議を採択しようとしたところ、トルコ政府は、アブドラ・ギュル外相を米国へ送り、そのような決議を採択する
ならトルコ領内での米軍への基地を提供しない旨を表明した経緯がある。
 過日、すぎやまこういち氏等によるワシントンポスト紙での従軍慰安婦非難決議に対する意見広告が出された。これについ
ては、「米議会を刺激し逆効果」などと言っているマスコミのいるが、本来、日本政府が行うことで10億の予算をつければ、ワ
シントンポスト紙なら、100回の広告が出せる。中国は国を挙げて日本攻撃をしているのだから、日本もそれに対応するべき
である。
 慰安婦問題ではないが、南京事件における東中野先生の研究でそれまでの証拠写真の信憑性を崩してきたことが、世界
に広がりを見せている。このような活動は、ボディブローのように次第に効いてくる。

 講演後、質疑応答が行われた。ただ、この会の出席者は論客が多く、質問以上に意見が
多いのも特徴。するどい意見が出てくるが、もっとも目を引いたのは、20代はじめと思われ
る男性が、「学校で従軍慰安婦も南京虐殺も習った。社会に出てそうではない意見を聞くよ
うになったが、事実ではないことは、すぐにでも教えることはやめるべきではないか」という
もの。また、「安倍首相はもっとはっきりと言って欲しい」とも。
 教育について花田氏は、「ごもっとも、その通り」安倍首相については「一国の総理ともな
ると自分の考えだけを言うことは出来ない」とただ批判ばかりするマスコミ人とは一線を画
する感性を持っている印象を受けた。
 出版業界に属する花田氏の見解は、例えばテレビは視聴率が評価となるが、それでは、
ニュースのショー化を招く。従来より、二ユースは視聴率の評価をしないよう呼びかけてい
るが、なかなか実現しない。むしろスポンサーが視聴率を気にせず良識ある番組を作ること
を評価するようになっていくことが望ましい。 ということであった。

 余談ではあるが、後で個人的に花田氏にマルコポーロの後、朝日新聞へいったことについて訊ねてみた。
花田氏の知名度はタレント級だけにこの動向は多くの人の「謎」でもあったわけだが、ある意味聞き難いもの
でもある。しかし、花田氏は快く当時を振り返って話してくれた。
 「マルコポーロ以降、仕事らしい仕事がなく、同系の新潮などへいっても面白くないだろうと思っていたとこ
ろ朝日の方から話があった。社員にはならず嘱託契約で受けたが、それからもいろいろありましてね。」(内
容については控えますが、業界人なら分かるようなこと)
 現在は、編集長でありながら経営者でもある花田氏。ビデオなども手掛け、経営も堅調のようである。出版
業界の人なら、これ以上あこがれることは、あるだろうか?自ら経営する会社のもとで理想とする雑誌を目指
す。 花田氏は、「編集という仕事は楽しくて仕方がない。自分達の会社なので何時か定年かは分かりませ
んよ」という。 今の「WiLL」は「文春」以上に花田氏らしいのだろう。しかし、「やり手」と称されるイメージとは
異なり、とても紳士的な方であった。