古事記を語る時機

 古事記を太安万侶の著書とみる人もいるが
更にその創作物とする人もいる。
 しかし太安万侶は今流で言うなら、編集者
と見るほうが、正しいのでは。
 様々な伝承をまとめたものが古事記である
が、江戸時代に本居宣長が35年をかけて古
事記を再度、まとめたということが紹介された。

 小林・宮崎両氏は、本居宣長が古事記を再
編した時機と現在とで、日本文化さらには「日
本人とは」というアイデンティティを検証する必
要な時機として共通しているという。
 また、その国を消滅させるには、神話を消し
去ることで達成できるという。
 神話を消失させる事でその国民が何者であ
るかを喪失させるという事だ。
 したがって、現代こそ古事記を語る時機であ
ると締めくくる。


 ちなみにギリシャ神話に登場する髪が蛇の
「メドウサ」はゼウスの怒りに触れ化物にされ
たとなっているが、メドウサは、かつて一地域
で崇拝された女神である。
 その地域を征服したことによって神話を破壊
し、そこの民のアイデンティティを消失させた例
であろう。